鍵を突然紛失してしまうと、パニックになってしまいがちです。中でも、車の鍵がなくなったときは多くの問題が出てきます。自宅で鍵を紛失した場合には、出勤などの予定が狂ってしまいます。また、外出時に鍵をなくしたとしても一定の場所から車を動かせなくなるなど、他人に迷惑をかけるケースも少なくありません。そのほか、インロック状態で鍵を取り出せなくなることもあります。より恐ろしいのは鍵を盗まれてしまったパターンであり、悪用されるリスクが出てきます。ふだんから車に乗っているなら、もし鍵を紛失してもすぐ対応できるように心構えを持ちましょう。この記事では、鍵が紛失した際に解決するまでのマニュアルを状況別に紹介していきます。

1.よくある車の鍵の紛失ケースと対処法

車の鍵を紛失するには、いくつかの理由が考えられます。どんな状況で鍵がなくなるかによって、対応を依頼する相手は変わってきます。以下、よくある紛失ケースと対処法の例です。

1-1.ケース1:インロックしてしまった

リモコンキーやオートロックが一般化した時代では、「インロック」によって鍵が取れなくなるケースは少なくありません。インロックとは、車の鍵を車内に置いたままロックがかかる状態を指し、「キー閉じこみ」と言うこともあります。インロックしてしまうと、車を外側から開けられません。2018年4~9月におけるロードサービスJAFの実績では、インロック処理による出動は毎月1万4000件以上にものぼっています。出動理由全体のランキングでも第3位であり、ドライバーには高確率で起こる問題といえるでしょう。もしも鍵をなくしたと気づいたら、まずはインロックの可能性を探ってみるのが賢明です。インロックならすでに鍵の在り処は確定しているので、ロックさえ解除できれば問題は処理できます。

1-2.ケース2:鍵を紛失してしまった

鍵が見当たらないうえ、インロックでもないなら「紛失」となります。この場合、鍵が手元に戻らないことを前提に処理を進める必要があります。スペアキーがあるならすぐにロックを解除できるものの、作っていなかったりすぐには取り寄せられなかったりするケースも珍しくありません。また、スペアキーなしで鍵だけ開けても車には乗れないままです。紛失の際には、鍵開けと新しい鍵の作成を並行して手配しましょう。ちなみに、鍵開けと鍵作成は同じサービスで対応してくれるとは限りません。むしろ、別々の料金を取られるケースが大半です。また、業者自体を別々に依頼しなければいけないこともあります。2つの作業を混同しないようにしましょう。

1-3.ケース3:鍵を盗難されてしまった

車の鍵がなくなったとき、もっとも危険性が高いのは「盗難」です。単なる紛失だと思っていても、拾った人間が鍵を悪用するために盗んでしまう可能性もゼロではありません。少しでも盗難の恐れがあるなら、スペアキーの作成を考え直しましょう。いっそ、鍵そのものを取り替えてしまったほうが安全だからです。ただし、鍵の交換はスペアキー作成より費用も時間もかかります。予算や日程なども踏まえて、じっくり検討しましょう。

2.車の鍵の紛失はどこに相談すればいい?メリットデメリットを紹介

さまざまな業者が車の鍵紛失に対応してくれています。しかし、それぞれにメリットとデメリットがあるので、選ぶには慎重になりましょう。この段落では、業者ごとの特徴を紹介していきます。

2-1.JAF(ロードサービス)に相談する

多くの人が車のトラブルといえば、JAF(ロードサービス)を思い浮かべるでしょう。以下、JAFを呼ぶメリットとデメリットです。

2-1-1.メリット

車に関するトラブルを幅広く請け負っている団体がJAF(ロードサービス)です。JAFは鍵の紛失をはじめとする車に関する問題のプロ集団です。ノウハウも実績も信用できるうえ、知名度も高いので連絡しやすいでしょう。また、電話1本で駆けつけてくれる手軽さも強みです。さらに、JAF会員に対しては鍵開けを無料で行ってくれます。

2-1-2.デメリット

JAFに頼むデメリットはまず、「到着に時間がかかる可能性」です。JAFは鍵開け専門の団体ではなく、様々な交通トラブルを扱っています。そのため、ほかの業務との兼ね合いでは1時間以上も長く待たされる可能性があります。また、JAFで可能なのは鍵開けのみです。鍵を新たに作りたいときは、どのみちほかの業者を探さなくてはいけません。JAFから提携業者を紹介してもらうこともできるものの、二度手間になるのは同じです。しかも、JAFの非会員は専門業者に頼むより鍵開け費用が高くなることもあります。

2-2.鍵業者に相談する

車の鍵を紛失した際も、鍵業者を呼ぶことが可能です。以下、鍵業者にまつわるメリットとデメリットを挙げていきます。

2-2-1.メリット

鍵業者のメリットはまず、「現場に着くまでの時間」です。電話で呼び出してから、およそ1時間以内で駆けつけてくれます。現場の近くで準備がすぐ整った場合、数分で来てくれる事もあります。さらに、業者は鍵問題の専門家なので、複雑なトラブルについても問題なく対応できます。さらに、業者の件数は多いため、自分に合った業態を自由に選べるのも魅力です。そのうえ、鍵開けと鍵作成を同時に請けてくれる業者も珍しくありません。早ければその場で鍵を作ってもらえます。そのほか、本人がJAF非会員だったなら、JAFを呼ぶよりも安く依頼できることもあります。

2-2-2.デメリット

鍵業者に依頼するデメリットは主に費用面です。JAF会員ならJAFに依頼すれば無料ですが、業者を呼ぶことで数千円の費用を負担しなければいけません。また、業者によっても料金にバラつきがあります。ただし、費用は見積をもらって確認できるため、納得できない料金なら無理に依頼しなくても大丈夫です。

2-3.ディーラーに相談する

車を購入したディーラーに相談するのもひとつの方法です。以下、ディーラーについてのメリットとデメリットです。

2-3-1.メリット

ディーラーの担当者とふだんから仲良くしている場合、鍵を紛失した際にも気軽に相談できます。気心が知れた仲なので落ち着いて状況を説明できるでしょう。また、ディーラーで作ってもらうスペアキーは純正品なので、クオリティは保証されています。そのうえ、ディーラーでは鍵交換も対応可能です。スペアキーを作るだけでは不安な人は、鍵ごと換えてしまいましょう。

2-3-2.デメリット

ディーラーに依頼するデメリットは「対応時間」です。ディーラーの本業は鍵開けや鍵作りではないため、迅速に来てもらえるとは限りません。即日対応はまず無理だと心得ておきましょう。さらに、鍵の種類などによってはディーラーでも対処しきれない可能性があります。また、費用もディーラーごとに異なるので予測がつきません。そのほか、鍵交換をする際にはキーシリンダー自体を変えたり、イモビライザーやスマートキーに手をつけたりする必要があります。ディーラーに車を預けなければ作業ができませんし、その結果、1週間以上はかかってしまいます。それだけの余裕があるかを考えたうえで、決断しましょう。

3.それぞれの業者に依頼した場合の費用はいくら?

鍵開けや鍵作成を依頼する際には、費用にも注意しましょう。この段落では、JAF、鍵業者、ディーラーそれぞれのパターンでの費用概算を説明します。

3-1.JAF(ロードサービス)に依頼した場合の費用

鍵開けだけの場合、大前提としてJAF会員には費用がかかりません。一方、JAF非会員は、インロックの鍵開けで1万円以上請求されます。2018年11月時点の料金では、一般道8時~20時の対応で1万2880円、20時から8時で1万4940円です。高速道路の8時~20時で1万4940円、20時~8時で1万6990円になっています。なお、鍵作成と鍵交換はJAFで対応していません。

3-2.鍵業者に依頼した場合の費用

紛失後、鍵業者に鍵開けを依頼するとおよそ8000円~1万円程度かかります。ただし、鍵の種類や作業の難しさによって相場は変動します。また、鍵作成の相場は1万5000円~4万円くらいです。オプションなどを追加してセキュリティ強化されている鍵なら、費用はさらにかかります。鍵全体の交換ができるかどうかは、業者によって異なります。費用も種類などを踏まえたケースバイケースなので、正式に依頼する前に電話で相談しましょう。

3-3.ディーラーに依頼した場合の費用

鍵開けをディーラーに依頼した際、費用はさまざまです。高額になることもある一方で、サービスとして無料対応してもらえるときもあります。依頼前に確認するのが無難でしょう。一方、鍵作成は鍵番号さえ控えてあるなら数千円程度で対応可能です。そのかわり、完成までに数日を要します。鍵交換ともなれば、数万円程度が目安です。高性能を再現するためには、10万円以上かかることもあるので相談が大切です。

4.鍵の紛失~鍵開け・作成までどのくらいの時間がかかるのか

トラブル発生から解決までの時間も、依頼先を選ぶうえでのポイントです。JAFでは鍵開けだけでも2時間以上はかかります。作業時間が短くても、到着までが長引きがちだからです。一方、鍵業者は鍵開けだけなら1時間もかかりません。追加で鍵作成を頼んだとしても1時間半程度で問題解決するでしょう。鍵業者は到着までの時間が短いため、依頼者のストレスは軽くなります。ただし、イモビライザーキーのような高セキュリティの鍵は、さらに作業時間が必要です。そして、ディーラーはトラブル専門業者ではないため、即日対応をしてもらえないことがあります。鍵作成なら数日間かかりますし、鍵交換なら1週間以上必要なうえ車も預けなくてはいけません。急を要する場合はディーラーに頼みにくいといえます。

5.業者に依頼する前にやるべきこと・確認するべきこと

車の鍵を紛失し、専門業者に対応してもらうなら事前に済ませておくことがあります。以下、注意点や確認点を挙げていきます。

5-1.車の鍵紛失はまず警察に連絡する

鍵が紛失したと決定的になった時点で、警察に連絡をしましょう。その際、「遺失届」を出さなくてはいけません。遺失届を提出すれば鍵の情報が警察で記録されるため、万が一見つかったときに連絡してもらえます。遺失届がないと見つかった鍵は一定期間保管されるだけで、警察から特に連絡はありません。遺失届を出すのは近場の警察署、交番で大丈夫です。警察の施設は基本的に、落し物なら全国どこでも対応してくれます。地理的、時間的に交番まで行くのが厳しいなら、電話やインターネット受付を利用しましょう。なお、見つかったときに必ず連絡をもらえるよう、鍵の特徴は細かく説明しておきます。

5-2.車種や車の場所を伝えられるようにしておく

業者に依頼する際には、必要事項を伝えられるように準備しましょう。まず、本人名義の運転免許証と車検証は必須です。ただし、車内に置いたままインロックしてしまった場合は、その旨を伝えれば問題ありません。そして、依頼の電話をすると最初に「車の場所」「ナンバー」「トラブル内容」「車のメーカー」「年式」「グレード」などを聞かれます。迅速に対応してもらうには、あらかじめ確認しておきましょう。ちなみに、会員がJAFを呼ぶなら会員番号を伝えるのが基本です。

5-3.鍵の種類を確認しておく

車の情報以外にも、業者には鍵の情報を伝える必要があります。「リモコンキー」「スマートキー」「イモビライザーキー」など、鍵の種類は特に重要な情報なのでチェックしましょう。

5-3-1.イモビライザー付きの車の場合

鍵作成を頼むとき、必ず業者から「イモビライザーかどうか」と確認されます。イモビライザーとは、鍵に内蔵されたコードが車のコードと照合され、一致したときのみエンジンがかけられるセキュリティ装置です。つまり、鍵穴と照合する鍵を作っただけでは、車のエンジンをかけられません。そのため、イモビライザーの鍵作成は作業が難しくなり時間がかかります。その分、費用も高くなるケースが多くなります。

5-3-2.イモビライザー付きかどうかを確認する方法

持主ですら車にイモビライザーが付いているかどうか把握していないことはあります。そんなときはまず、メーターを確認しましょう。インジケーターランプの中でも、車に鍵マークがついたランプが点滅していると、イモビライザーである可能性が高いといえます。ただし、ランプは鍵だけのマークだったり、「SECURITY」という文字だったりもします。そのほか、窓にイモビライザーを示すステッカーが貼られているかどうかもチェックポイントです。

6.車の鍵を紛失したら保険は使える?

鍵を紛失した場合、新たな作成や交換などで費用が高くなることも珍しくありません。車両保険が鍵紛失に使えるかは重要な問題です。仮に「盗難」によって鍵がなくなったと認められた場合、保険は適用されます。しかし、ただの「紛失」であれば適用外です。それでも、保険の契約内容によっては特別に紛失まで適用範囲が広がっていることもあります。いざというときのために、車両保険の内容をふだんから把握しておくようにしましょう。

7.車の鍵の紛失は鍵業者に依頼するのが一番早い!

JAFやディーラーも鍵紛失には対応してくれます。しかし、さまざまなメリットを考えると鍵業者に頼むのがもっとも適切でしょう。鍵業者は電話1本で呼べて現場に到着するまでの時間が早いため、スケジュールのズレを最小限に抑えられます。しかも、その場で鍵開けから鍵作成までを請け負ってくれます。さらに、本格的に依頼する前の時点で見積を出してくれるため費用面の不安がありません。スムーズかつ確実に鍵トラブルを解決するなら、鍵の専門業者がおすすめです。